中国古箏演奏家、作曲家

伍 芳 ウー・ファン

素直な音、自然体に聞こえる音

大阪の近代における三大名建築に数えられる大阪倶楽部。大正元年から関西財界人の社交場として使用され、国の登録有形文化財にも指定されている由緒ある建物で、7月27日、中国古箏と日本舞踊のコラボレーション『華の宴~中国古箏と日本舞踊の競演~』が開かれました。

格調高い歴史建造物の大広間に響きわたる中国古箏演奏家ウー・ファンさんが奏でる華やかな古箏の調べと、日本舞踊家西川まさ子さんの優雅な舞。観客は真夏の暑さをひと時忘れ、幻想的なステージに酔いしれました。

今回、ステージスピーカーとして使用されたのは、TD508II及びTD307II。実は、ウー・ファンさんがECLIPSE Home Audio Systemsをステージで使うのはこれで3度目。さて、今回のステージでECLIPSE Home Audio Systemsのサウンドは、ウー・ファンさんの耳にどのように響いたのでしょうか。演奏終了後にお時間を頂き、お話をお伺い致しました。

※古箏(こそう)…日本の琴のルーツとも言われる、中国の伝統的な弾撥弦楽器。

ECLIPSE Home Audio Systemsをステージで使って頂くのは、今回で3度目だそうですね。今日の音はいかがでしたか?

ウー・ファン:今日が 1番良かったですね。会場にとても合っているように感じました。

演奏を聴いていると、本当に音が親密で、スピーカーから聴こえてくる音というよりも、目の前でウー・ファンさんが演奏してくれているような感じがしたのですが、初めてECLIPSE Home Audio Systemsの音をいた時は、どうお感じになりましたか?

コンサートで使う前に、デンソーテンさんのスタジオで試しに演奏させてもらったのですが、生音をとても素直に表現してくれると感じました。
作られた音ではなく、嫌味なく自然体に聴こえる音なんですね。それで、「このスピーカーに合うような会場があればぜひ使ってみたいな」と思っていたところ、ちょうど能舞台で演奏することになったんです。

能舞台の床は、足拍子の響きを良くするための工夫があって、重い機材を置くのはNGらしいですね。その意味でもコンパクトで軽いECLIPSE Home Audio Systemsが使われたと聞きました。

コンパクトでも、とても高性能なスピーカーですよね。どこに座っていても、360度音が響き渡って、気持ちよく自然体に伝わるところが、このスピーカーの優れた点だと思います。ただ、能舞台で演奏したときは、舞台がとても高い位置にあったので、客席の反応が見られなかったのが残念でした(笑)。その点、今日の会場は客席との距離もちょうど良く、もともと響きの良い会場ですし、気持ちよく演奏できました。
あと、会場の準備が入念にできたのも良かったですね。会場によって音の響き方って全く違いますから。お客さまが入ったときと、入っていないときでも響き方が変わるので、機材のセッティングやボリュームのレベル調整などにじっくり時間がかけられると、良いものができるんです。今回は条件が全部そろったので、良い音になったと思っています。

中国古典楽器の魅力を、日本の人々に伝えたい

ウー・ファンさんは、演奏を通じて日本の人々にどんなことを感じてほしいですか?

古箏というのは2000年の歴史を持つ古典楽器ですが、中国では現代音楽もたくさん作られています。弦の数も初期の5弦から時代と共に増え続け、現在では21弦や23弦、転調用のペダルのついた26弦箏が新たに作られるなど、楽器としても進化を続けています。
ただ、日本の人にとって、古箏は異文化の音楽ですので、できるだけわかりやすく、表情豊かに伝えられるように心がけています。

今日のコンサートは、どの曲もとても素敵でしたが、特に『戦台風(センタイフウ)』という曲は、聴いているだけで情景が目に浮かぶようでした。今、激しい風が吹いてきたとか、弦を小さく爪弾いた後、明るい曲調になったときには、台風が過ぎ去ったのかな、とか。

自分なりに曲の意味を考えて、できるだけ表情豊かに表現していくことを大切にしているので、そういったことを感じてもらえると嬉しいですね。

本当に素敵な演奏でした。今回のコンサートを終えて、ウー・ファンさん的には、今後もECLIPSE Home Audio Systemsを使っていきたいと思われますか?

ええ、使っていきたいですね。ただ、セッティングや調整をデンソーテンさんにお任せしちゃっているので、あんまり頻繁だと大変かもしれませんよ。でも、希望は申し上げます(笑)。あと、自分でも触れるようになれたらいいんですけれど、電気関係は弱いので…。いつか時間ができたら勉強します。

お疲れのところ、ありがとうございました。

取材を終えて

日本の琴のルーツとも言われ、華やかな音色をもつ中国の伝統的な民俗楽器古箏。華やかで澄んだ音色と深い響きは、2000年の歴史を感じさせてくれました。
今回、ウー・ファンさんの曲を振り付けた日本舞踊西川流の西川まさ子師範も、「まるで楽器そのものから聞こえている音のようだった」と、ECLIPSE Home Audio Systemsの音を賞賛。今回の会場の雰囲気と、ECLIPSE Home Audio Systemsの親密でさりげない音がとても合っていて、素敵な時間を過ごすことができました。

profile

伍 芳/ウー・ファン(中国古箏演奏家、作曲家)

中国・上海生まれ。9歳より中国古箏の第一人者、王昌元氏より手ほどきを受ける。その後、中国で最も難関といわれる上海音楽学校に入学。郭雪君氏に師事し、古箏を中心にピアノや音楽の基礎理論などを幅広く勉強する。1990年7月同校を首席で卒業し、来日。1996年9月に東芝EMIよりデビューアルバム「箏心」をリリースし、日本における現在の中国楽器ブームの先駆けとなる。

現在は、中国の古典、現代曲だけにとどまらず、様々なジャンルに挑戦。一方で、自演はもちろん他のアーティストへの楽曲提供など、作曲活動にも力を注ぐ。2006年5月には、ドイツBambergで開催された「Euro Festival Zupfmusiku2006」に参加し、絶賛される。独自の音楽世界<ウー・ファンワールド>を展開し、その確実なテクニックと美しい音色で聴衆を魅了し続けている。2006年6月28日には、通算9枚目のアルバム「Jasmine Flower~中国歌物語~」を発売。

ウー・ファン オフィシャルサイト
http://www.moz.co.jp/wu-fang/index.html