天変地異とウィルス、音楽とパワースポット
小原由夫のサイト・アンド・サウンド(Ver.2:第28回)

この原稿を書いている1月31日時点、福井県や富山県では記録的な大雪が降り、1000台以上の車両が立往生、30kmにも渡って道路が通行止めとなった。JR北陸線もストップし、車内で500人以上の人が一夜を過ごす羽目になった。結局すべての列車が運休という事態になり、社会生活に大きな影響を及ぼすこととなった。

一方で、宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島山系・新燃岳では、52年ぶりに爆発的噴火を観測。噴煙や噴石落下などで危険なため、地域住民に非難勧告が発令された。活発な状態が長期化することも予想されている。

世界に目を転じれば、オーストラリアを史上最悪の大洪水が襲い、ブラジルのサンパウロでも同様な大洪水が発生している。こうした異常気象は南半球ばかりでなく、ヨーロッパでも記録的な寒波に襲われている国が少なくない。これら地球規模の天変地異により、農作物や食料、生態系に与える影響が現在危惧されている。

こうした中、最近気になるのが、鳥インフルエンザや口蹄液、さらにはマラリアといったウィルス性病原菌の蔓延だ。一端駆除されたかと思えば、翌年再び伝染するという繰り返し。有史以来、人と密接に関わってきた感染症だが、ここにきてその存在が俄かにクローズアップされてきたのは、異常気象とは無縁ではないだろう。あるいは、人の抵抗力が弱まってきたこともありそうだ(抗菌対策なんていうのもその動きのひとつだろう)。おそらく「スギ花粉」とて、はるか昔から飛散していただろうに、近年になってそれが取り沙汰されるようになった背景には、菌に対する人間の抵抗力が減退したとしか考えられない。

別段このページは、異常気象やウィルス対策といったことについて分析、提案するものではない。ましてや、私のそれらに対する知識など、ネットやテレビ、新聞といったメディアから採り入れた範疇に過ぎない。一部では、天上からの警笛、あるいは神様の怒りの現われという宗教的考察もあるようだが、私には想像もつかないことだ。

こうしたある種のカタストロフィーにおいて、人は某かに“救い”を求めるものである。太古の昔は、神や自然に対する貢ぎ物として「いけにえ」を捧げることで、それを沈めようとした。これは現在でも姿を変えて存在している。宗教に向かうことも、神に仰ぐという点でこれと似ているかもしれない。信心のない私には、どうにもおよびもつかない領域の話なのだが、それでも「困った時の神頼み」はするわけで、身勝手といえばその通りだ。

ちょっと論点がズレるかもしれないが、近頃流行りの「パワースポット」なる動きは、その場所(スポット)に行くことで未知なるエネルギーを授かったような感覚を得ることだ。そこで得たエネルギーをさまざまな面から活力として引き出し、活かすことで、普段とは異なる“何かの導き”を期待するものである。

活力を得る、明日への生きるパワーを享受するという点で、私にとって極めて大きな存在が「音楽」である。私は好きな音楽を好きな音量で全身で浴びるように聴くことで、リフレッシュしたり、覚醒したり、元気をもらう。音楽で何度も立直ることができたし、癒されもした。多くのサジェスチョンも得てきた。仕事という範疇を越えた、それは完全にパーソナルな領域の話である。

こうした殺伐、混沌とした時代だからこそ、心の安息と平穏を求めて、じっくりゆっくりと音楽と向き合いたい。そして、音楽から放出されるパワーがより大きな波動となって心身に取り込めるように、音楽を再生するための装置であるオーディオに、私は手間暇を厭わず、投資し、自分の意志を反映させるのだ。だからこそオーディオは重要であり、そのクォリティーにこだわりたいのである。

デスク周りに並ぶ5本のTD712zを結ぶ中心軸。ここがさしずめ我がパワースポットである。