好きな音楽を気軽にいい音で楽しみたい人や、大掛りな装置や煩雑な配線が不要なシンプルなオーディオを求める人にとって、ECLIPSEのCDR1 PACKはたいへん魅力的なコンポと紹介した。今回はそのレポートの2回目、システム拡張の実践篇だ。

CDR1 PACKの核となるCDレシーバーCDR1は、長年揃えたCDをより高音質で再生すべくCD専用ドライブを搭載し、スピーカーをがっちり駆動する3段インバーテッドダーリントン回路を内蔵しているのが特徴だ。

今回はそのCDレシーバー背面のアナログRCA端子を活用し、話題のハイレゾコンテンツの再生にチャレンジしようというものだ。

用意したのは、米オッポデジタル社のUSB-DAC『Sonica Dac』。便宜上USB-DACと紹介したが、本機は専用アプリ(iOSおよびAndroid対応)での操作とフロントディスプレイの連携によって、D/Aコンバーターとしても、あるいはハイレゾ対応のネットワークプレーヤーとして使用することも可能。その心臓部に、高音質で定評のあるESSテクノロジー社の最 新DAC-IC/ES9038PROを搭載している点に注目が集まっている。この最新デバイスを積み、22.6MHzのDSD、768kHz/32ビットPCM対応という先進性を有しながら、10万円を切る価格が話題沸騰というところだ。

CDR1との接続は、背面のLINE 1または2のいずれかの端子と、Sonica DacのPRE OUT端子をRCAケーブルで接続。CDR1のフロントパネルのINPUTボタンを切り替えて、<LINE 1>を選べばよい。

今回はUSB DACとしてSonica Dacを使うのではなく、前面のUSB入力に音楽コンテンツの入ったUSBメモリーを差し、ネットワーク プレーヤーとして使ってみたい。プレーヤーソフトは、オッポデジタルが無償で提供している『Sonica』を使用。イーサーネット(LAN)を接続したSonica Dacを準備し、対応端末にダウンロードしたアプリ『Sonica』を立ち上げ、そのセットアップ画面の手順に従って組み合わせるSonica dacを追加。「USBストレージ」内の楽曲を選択すれば、すぐに音楽が始まる。

ハイレゾミュージックの醍醐味は、周波数レンジの広さや微細な情報のリアリティはもちろんだが、空間再現性もそのひとつ。その再生においては、ECLIPSE スピーカーが最も得意とするところだ。

卵形のエンクロージャーを採用したエッグシェルコンストラクションにより、スピーカーに音がまとわりつかず、きれいに音が拡散する。オーケストラを再生すれば、大音量再生特有の重厚な響きでは大型スピーカーに適わないものの、ハーモニーの立体的な響きや、余韻がどこへともなく消えていく様子が、あたかも見えるかのように再現される。それが一層緻密に、滑らかさを伴って再生されるのが、ハイレゾミュージックならではの美点だ。

微かな音の実在感がより鮮明に感じられるのも、ハイレゾミュージックの大きな魅力。その再現力にもECLIPSEは非凡なものを持っている。ヴォーカリストが発する語尾の微妙なニュアンス、あるいはエフェクターで付された若干のリヴァーブ等が、Sonica DacとCDR1 PACKの組み合わせでは至極鮮明に感じられるのだ。

ハイレゾというだけで、LANだのUSBだの何だか面倒臭そうと思っている方がいれば、ここまでシンプルなシステムでもそのポテンシャルが存分に楽しめますよと進言したい。インターネット等のネットワーク環境さえ構築されていれば、ハイレゾ再生のためのセットアップなど、ほんの少しの手間で済んでしまうのだ。使い方に慣れてしまえば、これほどストレスフリーに音楽が楽しめる手段はそうそうない。ぜひCDR1 PACKと共にハイレゾ再生にトライしてほしい。

さて、次回はフォノイコライザーアンプ内蔵アナログプレーヤーを準備し、CDR1 PACKと組合せてみよう。